2013年6月1日土曜日

南欧自転車ぶらり旅 第十二日

 夜中、雷鳴が轟き、雨が降る音が聞こえる。シエナは静謐な夜を与えてくれない。
雷雨と言えば、日本では梅雨の終わりの頃によくあるが、こちらでは毎日雷鳴がとどろいている。
 朝にならなければわからないが、もし雨が降っているようなら、シエナの二日目もあるかもしれない。何故なら今日のホテルは、サン・クイリコ・ドルチァの郊外のアグリツーリズムの宿を予約しているが、直前でもキャンセル料なしでキャンセルできるからだ。それに昨夜、鉄道路線図と地図を検討した結果、今日のコースで鉄道はお助けマンにはならないことがわかった。極端に本数が少ないというより、そもそも列車が走っていないのではないかという駅もある。しかも鉄道は今日の目的地サン・クイリコ・ドルチァには行っていないので、途中で降られても、何とか自力で辿り着くほかないのだ。

 夜中眠れなかったため、明け方寝て、目が覚めたのは7時半であった。窓から少しだけ見える空を見ると白い雲が多いが、日も照ってるようだ。ありがたい。出発の時に降っていないならシエナからサン・クイリコ・ドルチァまで約50キロであるから3時間。どこまで降られずに行けるかがポイントだが、早く出発しよう。

 朝食の時、ホテルのおかみは、今日も雨かもね。というニュアンスのことをいう。つまり今は降ってないけど、またすぐ降るわよ、ほんと変な天気ね、こんなこといつもじゃないわよ。これは80%自分の推測だが、恐らくこんなことをいったのではないか。自転車を駐車場から出して出発。と、問題発生。ミシュランのアプリが動かないのだ。昨夜もマックブックのクロームとiPhoneでミシュランの地図が動かないので変だなと思った(マックブックのサファリでは動いた)。原因は不明であるが、ミシュランアプリが機能しないと、どちらの方向に行けばいいのか全く分からない。やむをえずグーグルの地図アプリのナビモードを使ってみたが、はじめのひとこぎをどちらの方向に向かってやったらいいのかも分からない。
 昨夜マック上で検討したときには、ともかくSR2(ローマ街道)を南東方向へ進むのだが、とりあえずブエンコンヴェントをめざす。といってもシエナのどの門から出たらいいのかも分からない。取りあえずシエナを出て、どこか標識があるところまで行って考えようと決めて、iPhoneのナビは諦めて進む。幸い選択した道はSR2で、しかもローマと並んでブエンコンヴェントの標識も発見。この道をはずれずにひたすら進もう。交通量は多いし、車の速度も速くて自転車には酷な道であるがやむをえない。
 5キロ程下ると、いかにもトスカーナの田園風景という景色が出てくる。
ここでシエナ市は終わり
トスカーナらしい景色が前方に広がる

上の写真では雲が厚いが、下の写真では青空ものぞいている。恐らくシエナはまた雨が降る気配だが、南下するに従って天気はよくなっている。でもSR2をひたすら走りながら、いつも背後に薄黒い雨雲が迫ってくるので、先を急ぎたくなるのだ。
 途中、ブエンコンヴェントで小休止。
何時降られてもいいようにザックには防水カバーをかけている

今日はローディにはほとんどあわなかったが、自転車の前後輪に振り分けの荷物をつけたいかにも世界一周の途中ですみたいなやつを見かけた。あれだけの荷物を持っているのだから、野宿で自炊が出来るくらいの装備を持っているのだろう。あと自分と似たようなタイプのサイクリストにもあった。かれは自分ほど詰め込んでないバックパックと後輪上にちょっとした荷物と雨具を縛り付けて走っていた。走りながら話しをしたら、英語国民でこれからあと30キロくらい先まで行くといっていた。こちらはあと10キロ弱なので、もっと先に行くようだ。
なだらかな草地と糸杉の林
あと少しでサン・クイリコ・ドルチャ


 今日の行程で一番きつい登りは、サン・クイリコ・ドルチァの街が標高420メートル位あり、そこに行くまでの最後の3キロくらいで150メートルちょっとを登るところである。何とか登り切り、最後のホテルまでの道をチェックするためにグーグルの地図を開いたが、何かはっきりしない。ところが試しにミシュランアプリを開いてみたら、何事もなかったかのように開いたのである。これで大丈夫とほっとした。
 それからサン・クイリコ・ドルチァの郊外にあるホテルに向かったが、番地もはっきりしない場所であったが、ホテルドットコムの地図で印がついていたところまでの道の取り付け状況などを把握していたため、あっさりと探し当てて到着(時間は11時半くらい)、と思ったら、ホテルに人の気配がないのだ。あれ今日は休みなの?何故、どうして。どこもカギがかかっていて完全に人を拒絶している。旅ではホテルがじぶんちだし、ここに泊まれないとすると宿探しをしなければならなくなる。玄関に連絡先の電話番号が書いてあるので、電話してみると相手の男性は、今私はシエナにいて、午後にはそちらに戻る。だからそれまでどっかで時間つぶしておいてね。単語的にいうと、シエナとポメリッジョ(午後)ぐらいしか聞き取れないのだけど、そういうことにして、サン・クイリコ・ドルチァの街に行って、昼飯を食べて、街を見て、周辺のトスカーナの景色を写真に撮ろうと街へ戻った。
 街並みハンターとしては、サンレモ以来の収穫をこの街で見つけました。写真はデジカメでなく高精細のミラーレス一眼カメラに収められているため、ここに写真を載せることは出来ません。デジカメで撮ることをすっかり忘れるほど興奮したからです。
 昨日のシエナの街並みも完成度は非常に高いのですが、ここサン・クイリコ・ドルチァの壁の内側の街並みは、もうトスカーナの景色と呼応するようにやさしく、美しいのです。シエナの街並みは歴史的なものが今日まできっちり受け継がれているのでそれは素晴らしいのですが、明るさに欠けるというのが唯一といってもいい弱点でした。
 それがサン・クイリコ・ドルチァの街並みでは天気がいいのも幸いしてますが、この街並みが形成されてからそんなに時間が経っていないのかとても明るく軽快なのです。
 その理由は舗石の材質と色にあるのかもしれません。通りによって材料も違いがありますが、どれも黒っぽくならないように配慮されているように思えます。これだけで随分雰囲気が異なるのでびっくりしました。

<ホンイチの街並み>
 サン・クイリコ・ドルチァの街並みですが写真がなくて本当に申し訳ありません。トスカーナの田園風景を楽しむ拠点都市は、このサン・クイリコ・ドルチァを中心に東側にピエンツァ、西側にモンタルチーノがあります。日本からのツアー旅行でドルチァ渓谷(世界遺産にもなってる見たいです)の景観を楽しむ方もおられると思いますが、そういう旅行ではこの拠点都市のどこかに寄るのではないかと思います。そんなときに見ていただけたらと思います。

<本日のホテル>
サン・クイリコ・ドルチァ「Agriturismo La Buca」
午後になって、オーナー夫婦がシエナから戻っていて、無事今夜の逗留ができそうです。主人夫婦は、自分と同年輩ではないかと思いますが、電話ではもっと若い人かなと思っていたのでちょっとびっくりしました。夕食についてどうするかをPCのグーグルの翻訳サイトでイタリア語から英語に訳していて、その部分を読んでくれという。中身は夕食はパスタとチキンで25ユーロです。同席者がいるようで、3,4人でテーブルを囲むようです。時間は20時からです。
 宿泊費は80ユーロ。部屋は1階の広々したところでとても小綺麗です。
テレビはないけどともかく広い

洗面スペースも広い



4 件のコメント:

  1. 素晴らしい街並みのところは改めてゆっくり逗留してみるということか。イタリアの町は10日以上逗留してみるとまたまた気に入るでしょうから。もう、すっかりイタリア人に認知されて(もともと日本人には認知されにくいタイプだから)気分が良くなっているのだろう。

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  2. 素晴らしい景色ですね。トスカーナらしい広々とした丘道で、気持ち良さそう!
    そして、街並みも写真なくても伝わってきます。自転車のたびだからこそ出会えたような、素敵な出会いに乾杯(^^)

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  3. 天候にも助けられたようで何よりです。
    小生は本日が学校の発表だったので、コメントできませんでしたが、順調ですね。
    イタリアの地方都市はどこも綺麗に整備されているようで、住民の意識の高さを感じます。

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  4. うわー!なだらかな草地。走りたーい!ごろごろしてみたーい!

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