2014年6月7日土曜日

南イタリア自転車ぶらり旅(第一日)

第一日目 6月4日 ローマ

 1年ぶりでまたイタリアに戻ってきました。昨年より10日ほど出発を遅らせたのは、このぐらいの時期から、イタリアは夏モードに入るのではという昨年の経験にもとづいていますが、確かにいい暑さです。
wifiルーターの表示はNo Networkのまま
ところが今回は順調にいくのかという期待が早々に裏切られます。成田空港で借りたwifiルーターのスイッチをいれても一向に電波を拾ってこないのです。
空港からテルミニ駅までいろいろやってみてもだめ。駅を降りてバウチャーの地図を見ながら、肩に食い込むチャリを担いで歩くのだが、地図にある通りが見つからないので、地元の人に聞かねばなるまいとそれらしい人に尋ねると、スマホの地図で確認し別の方角に出てしまったことがわかりました。
 空車が来たらタクシーに乗りたいという誘惑にかられながら歩き、二人目のイケメン青年に聞いて近くまで来たことを確信し、ようやくホテルに辿り着いた次第。いかにスマホの地図に助けられているかを改めて思い知らされる。
 wifiルーターがだめなので、ホテルのwifiをセッティングしようとするのだが、これが一回使ってスリープに入って時間が経つと、また同じ操作をさせられる一番嫌いなタイプ。結局うまくいかず、MacもiPhoneもネットにアクセス出来ない状態。この状態で旅行を続けられるかと自問すると、ネットと接続しなくても使える車のナビソフト(Sygic)は使えるので、目的地まで行けるが、途中電車に乗る場合、ネットで時間を調べていくのだが、駅まで行って時刻表を見るまでどのぐらいの頻度で走っているかなどはわからない。ホテルの予約が出来ないなど、昭和時代の旅行に戻る感じで気乗りせず。
 wifiのレンタル業者と連絡する場合、海外からは有料の電話を使うしかない。この状況を説明し対策を聞くまででも数千円に達する可能性が高い。ホテルの電話でかけても、呼び出し音が鳴っているけど誰も出ない。24時間対応と書いてあるのに。結局イタリアの夜中の1時くらいにiPhoneでつながる。2時間ぐらいで解決策を提示できるようなことをいっているが、次の電話まで3、4時間かかった。しかも何かを聞くのにいちいち「~でよろしかったでしょうか」的な云い方にむかつく。こちらが何度も試した電池とSIMカードを抜いて差し返すことをやったかどうかなどを聞いてくる。挙げ句の果てにかわりのルーターを送るのに5日間くらいかかるが、受け取り先のホテルと期日をいってくれという。今日の宿もわからないのにどうして5日後の宿がわかるのか。
 今日(6月5日)解決する方法を考えてくれといったら、上司と相談した結果ローマのボーダフォンショップでプリペイドのwifiルーターを購入してくれれば、その費用はレンタル業者が持つという提案。これなら機器を入手すればすぐ使えるので、ボーダフォンショップに行く方向で翌朝動くことにする。
<今日のホテル>
ローマ
サンレモホテル ☆☆☆
東京の旅行会社が取ってくれた

2014年4月17日木曜日

街並み評価式 適用事例海外編(3)

④ イタリア・ボローニャ市
 ボローニャはポルティコの街である。暇な人間が数えたらボローニャだけで3千ぐらいあったとか、これを何とか世界遺産に登録したいとかいろいろ話題があるようだ。しかし街並みを評価する上でポルティコを街路の一部と見なすか、或いは建物の一部としてコリドーのように見なすか迷う。結構美しくできているポルティコもあれば、まことにみすぼらしいものもある。あまり先入観を持たずに評価してみよう。

 街路(a):個人的にはこの写真のケースでは、ポルティコは建物の一部と見る方がいいと思う。本来なら歩道になるべきところが半分建物の中に収まっているためだ。ポルティコなしで街路を評価する。一応舗装面には石が張られているが、表面があまりきれいではない。(±0)

 建物(b):両側の建物はコーニスが通っているわけではない。2階以上を支える柱の存在感が大きいが、街並みを形成する上でどれだけ評価できるかというと、残念ながら加点は無理である。ポルティコは街並みを阻害しているとさえ思える。道路に面した建物が壁だけで1階に出入り口があるというなら標準であるが、ここでは(−1)である。

 街並み空間形成係数(c):ちょっと残酷かもしれないが1である。

 街並み評価式d=(2x3+2)x1=
ポルティコのあるボローニャの街並み


⑤ イタリア・トリエステ市
 トリエステはイタリアでも一番東の端にある街で、オーストリアやスロベニアと国境を接している。100年前まではオーストリア帝国の領土であった。

 街路(a):街路の幅員は2mというところ。でも張られた石はきちんとしているきれいである。(+1)

 建物(b):壁の連なりである。縦樋が目障りであるが、これ1本であるから目をつぶる。壁は一部汚れていたり、落書きも見えるがこれも目をつぶる。(±0)

 街並み空間形成係数(c):路地空間であるがしっかりと街並みはできている。2

 街並み評価式d=(2x3+3)x2=18
トリエステの街並み


2014年4月8日火曜日

街並み評価式 適用事例海外編(2)

② イタリア・ジェノバ(2013年6月現調)

 ジェノバはリグリア州の州都であり、イタリアでも6番目の人口(61万人/08)を有する大都市である。リグリア州ということはサンレモと同じ州で、しかもリグリア海(地中海)に面した港町であるが、人口規模はサンレモの10倍以上もある。
 そしてここで取り上げる街並みは、街路舗装の仕様などはサンレモのピーニャ地区と類似しているが、街並み形成という点ではピーニャに及びもつかないという事例である。

 街路(a):街路の中央は石ころをモルタルに埋め込み、レンガはその両側に敷かれている。かなり急傾斜の道で車の通行はできない。すぐ近くに丘の上をめざす人のためにケーブルカーが設置されており、現在の人通りも少ない。(+1)
 建物(b):左手の建物は住宅だと思うが壁が連なっている。右手の擁壁の上は公園になっている。擁壁はただのコンクリート打ち放しである。ここで最大の問題は手が届く範囲の壁に夥しい数の落書きが放置されていることだ。落書きやゴミの放置などは町が壊れていくもっともわかりやすい兆候である。(−2)
 街並み空間形成係数(c):素材としては悪くないが、この状態で街並みを楽しめる状態ではない。(1)
 
 街並み評価式d=(2x4+1)x1=
ジェノバの街並み  




 ③ イタリア・ヴィチェンツァ(2013年6月現調)

  ヴィチェンツァはヴェネチアを州都とするベネト州に属している。近代的な建築家の祖ともいわれるパラーディオが設計した建物が数多く残る街である。建物への意識が高いヴィチェンツァのゆるやかにカーブする街路の街並みを評価してみる。

 街路(a):ピンコロ石を放射状に組み合わせていった定番的な舗装部と両側にボーダー的な石を線状に配し、建物と接する端部は石の並びをかえて舗装している。やや地味ではあるが、建物との間に曖昧な空間が全くない典型的な街路である。(+1)
 建物(b):建物はコーニア(軒線)も通っていないしファサードも高さもまちまちだが、バルコニーの鉢植えや街灯などがアクセントになっている。(+1)
 街並み空間形成係数(c):商業地のような派手さはないが緩やかなカーブが効果的である。(2)

 街並み評価点d=(2x4+4)x2=24
ヴィチェンツァの街並み



2014年4月3日木曜日

街並み評価式 適用事例海外編(1)

 日本国内だけでなくアジアでもヨーロッパでも、そして住宅地だけでなく商店街やオフィス街でも普遍的に適用できる評価式をつくることが目的なので、海外でも適用してみることにします。場所は昨年(2013年6月)調査してきたイタリアの中から、4都市をピックアップして試してみます。
 芦原義信は「街並みの美学」のなかで、イタリアの街並みには街路と建物の間にあいまいな空間がないのが特徴だと指摘しています。このことは実際に現地の街並みに接してみるとよくわかります。路地のような幅員の狭い街路では、建物の屋根が視線に入ってこないので連続した建物が壁の連なりにしか見えません。つまり要素として見た時、街路と壁しかないのですが、街並み評価式では建物(b)は壁であっても構わないので適用に問題はありません。

① イタリア・サンレモ市ピーニャ地区(2013年6月現調)
 ピーニャの街並みは私の街並みに対する見方を変えるようなインパクトを持っていました。それを一言でいうと「街路の力」です。かなり安普請の建物が並び、スラムになりかねない地区をよみがえらせたのが美しい街路だったからです。

 街路(a):ピーニャ地区は斜面地に位置しているため、住人は町で買い物をするとビニール袋をぶら下げて坂や階段を登ってくる。やはり年寄りが多いが若者もいる。真ん中にレッドカーペットを敷いたように帯状にレンガを敷き、両側は子供のこぶしぐらいの石ころが丹念にモルタルに埋め込まれている。しかも石ころを埋め込んだ両側の断面はU字状になっていて、低いところを雨水が流れる。基本的な仕様は共通であるが、長い年月をかけてつくられてきているため、初期のものはレンガも黒ずんでいたりするが、一貫してこの手作業でしかできない面倒な仕様の舗装を貫いている。そして見事に街並み溶け込んでいる。(+2)
 建物(b)街路に立ってもほぼ壁の連なりだけしか見えない。ピーニャ地区を見下ろせるところまで行くとオレンジ色の瓦で葺かれた屋根が美しいが、街並みを歩いても屋根は視野に入ってこない。建物の評価は壁の評価になるが、最近塗り替えられたような右側の壁には質感は感じられない。左側の壁は古いレンガを積んだものがそのままであるが、色がまだらで不快ではない。余計なものは両側の壁をに沿っている縦樋であるが、減点対象にするほど目障りでもない。そこで±0とする。
 街並み空間形成係数(c):街路の舗装が大きく貢献して街並みとして全体を見ると際立っているので係数は3

 街並み評価点d=(2x5+3)x3=39

ピーニャの街並み

 
 因みに街路がつぎはぎだらけのアスファルト舗装のままの隣接した通りを評価してみる。ここもいずれはピーニャ式の舗装が行われるかもしれないが現状は以下の通り。
 街路(a):道としての機能は一応充たしているが、美しさという点ではー2。
 建物(b):壁だけでなく建物全体が見える家もあるが統一感はないので−1。
 街並み空間形成係数(c):街並みがあるとは見なせないので1。

 街並み評価点d=(2x1+2)x1=

 ピーニャ式の舗装がされているかどうかでここまで点数が開くのが、両方の街並みを見比べて納得していただけますか?
未整備の道



2014年3月27日木曜日

街並み評価式 適用事例国内編(後)

③奈良県五條市新町(2013年11月現調)
 奈良県中西部、吉野川に沿った町。2010年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
  
 街路(a):黄土色の細かな石で舗装面が覆われている。徳島県脇町の街路と同じ仕上げであるが、五條の方が白い石の混じりが多い気がする。側溝の蓋にも配慮されていることがわかる。(+1)しかし電柱が街並みの形成を妨げている。電柱を茶色に塗るのは醜い電柱を少しでも目立たぬようにという配慮だろうが、残念ながら電柱のネガティブな存在感は揺るがない。(ー2)
 建物(b):2階建ての商家やしもたやが連なる。2階壁面が白い縁取りで、中が黒漆喰というのが渋い。(+1)
 街並み空間形成係数(c):辛うじて2

 街並み評価点d=(2x2+4)x2=16

 意図的に数字を操作していないが、結果は惜しくも良好な街並みと評価される18点を下回ってしまった。実感としてもこの2点差は納得できてしまう。
五條の街並み

④奈良県宇陀市大宇陀(2013年11月現調)
  五條市から北東へ30キロ、奈良盆地の端にある桜井駅から10キロ280メートル登ったところに位置する。ここも2006年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

 街路(a):無彩色の細かな石が舗装面を覆い、路側の石が所々で街路を横断して疑似ハンプになっている。(+2)五條と同様、保護色に塗られた電柱がそびえているし、折角の独立した街灯だが、柱が太くて電柱のようでもあり美しく感じられない。(−2)
 建物(b):古い建物ばかりでなく、新しい建物もまじっているが、様式的にはこの街の建物に合わせてあるので違和感はない。こうやって更新されればいつまでもこの町は残るという希望を与えてくれる。虫籠窓、格子、竹矢来など多様だが、屋根勾配や瓦はほぼ共通である(+2)
 街並み空間形成係数(c):2の水準にある

 街並み評価点d=(2x3+5)x2=22

これも意図的にではなく、数字の積み上げの結果であるが、電柱はあっても良好な街並みができているという判定になった。感覚的にも首肯できる。
大宇陀の街並み




2014年3月26日水曜日

街並み評価式 適用事例国内編(前)

 街並み評価式を具体的な事例に適用してその効果を見極めてみたい。今回と次回に国内事例を取り上げ、その後で国外事例としてイタリアの4都市の事例に適用してみるつもりである。

① 徳島県美馬市脇町(2013年11月現調)
 うだつが上がる家並みが続く旧道沿いの街並みである。この街並みが目に飛び込んでくると街路と建物が一体となって静謐な景観として呆然と見入ることになる。
 街路(a):黄土色の細かな石が舗装面を覆っているだけだが、マンホールなどの蓋も目立たないのですっきりした感じである。通りは無電柱化されているが、地中化ではなく脇道からの配電である。(+1)
 建物(b):白壁づくりの店舗併用住宅が道路に対して妻入りと長手入りがまじって変化をつけているが、1階2階の軒線が揃っているので美しい。うだつは建物全体から見ると小さなアクセントであるが大事なアイデンティティとして際立つ。建物は比較的年代が新しいものもまじるが、様式は共通のため違和感はない。(+2)
   街並み空間形成係数(c):文句なしに3

 街並み評価点を計算すると次の通り。
      d=(2x4+5)x3=39

  45点が満点であるから、まさに三つ星レベルである。
脇町の街並み


②徳島県つるぎ郡貞光(2013年11月現調)
  脇町から吉野川を10キロ程遡った対岸にある。ここの建物には全国でも他に例を見ない2重うだつが上がっているが、脇町のように家並みが連続していないのが残念である。
    街路(a):舗装は脇町と同色で、明るい仕上がりとなっている。脇町のようにクルマを制限しているわけでないので、道路に白線が描かれている。しかし最大の街並み阻害要因は電柱である。これだけ街並みを形成できる要因があっても、街の人々の熱意も無慈悲に台無しにしているのが電柱である。(ー2)
    建物(b):うだつだけについていえば、2重うだつは脇町のものと比べてもインパクトがある。しかしこの通りが地元の人々の生活道路でもあり家並みが連続しないため生きてこない。(+1)
    街並み空間形成係数(c):良好な街並みが形成されるまで至っているとはいえないのでc=1

街並み評価点を計算すると次の通り。
      d=(2x1+4)x1=6
18点を大きく下回っているため残念な結果が出てしまった。
ただ、無電柱化されていれば恐らく次のようになる。
      d=(2x4+4)x2=24

 この結果は無電柱化の効果がいかに大きいかを示している。つまりよい街並みを造っていくためにまず何をすべきであるかを示している。
 でも脇町の39点と比較するとなぜ24点なのかという疑問が湧くと思う。あとは家並みの連続によって脇町とほぼ同程度までいけることをこの数式は示しているのである。
貞光の街並み





2014年3月23日日曜日

街並み評価方法 試案

 2013年の5月から6月の1ヶ月間、フランスからイタリア北部の都市を巡遊して、各地の街並みを見てきました。その模様は既に「南欧自転車ぶらり旅」として本ブログにアップされております。しかしそれから8ヶ月経っても肝心の街並み調査の成果が報告されていないということは、怠惰の極みで誠にお恥ずかしい限りです。
 ただ、素晴らしい街並みに出会っても、「大変いい街並みでした」としか云えないのはできの悪いグルメリポーターのようで実に情けない。言い訳めきますが、今まで見てきた街並みを的確に評価する方法論を何とかひねり出そうとしていたのも確かです。
 この方法論は日本でも海外でもどのような街並みにでも適用できることが絶対条件で、これによって日本とイタリアの街並みを同じ評価方法で比較することが可能になります。また商業地区の街並みと住宅地区の街並みも全く同じ手法で評価できることが望ましいと考えました。
 よい街並みというのは街路と建物の融和によって醸し出されるもので、建物としては大変美しく優れていても、街並みという観点でみると街路などの要素と一体化し街並み空間として特別な雰囲気を醸し出すところまで行っていない場合もあります。逆に建物は壁の連なりだけで、しかもモルタルが剥がれていたり、やや壁も薄汚れていても、街路との融和がうまくいくと玄妙な美しさを生み出すこともできるのです。
 こういう感性的な要素も取り込むことによって行き着いた評価方法はシンプルなもので、しかも誰でも簡単に使うことができるものです。これで今まで見てきた内外の街並みを評価して今後本ブログに載せていくつもりです。

評価方法
 
 まず、簡単な数式をご覧に入れます。
   d=(2a+b)c
a=街路と街路上の附着物(電柱、街灯、街路樹、標識、広告看板など)
b=建物群と敷地内構築物(塀(フェンス)、擁壁(石垣)、広告看板など)
c=街並み空間形成係数              
d=街並み評価点
 この数式では、街並みを大きく街路と建物の二つに分け、街路に建物より2倍の評価点を与えています。これはいろいろな街並みを実地に調査してきた経験から、街並みを形成する上で街路の比重の方が建物よりも大きいという実感に基づいています。日本の街並みを見ると建物の比重の方が大きい感じがしますが、イタリアなどでは建物は街並みに対して壁の連なりでしかない場合が多く街並みを際立たせるためには街路の要素が大きいのです。また商業や観光を目的とした地区では蔵屋敷とか茅葺き屋根など建物で特徴づける街並みの形成が行われますが、住宅地では建物に統一感を持たせるなどで街並みを作り上げることはむずかしいため、街路樹や生垣などで建物の存在を希薄化することによって街並みを形成する場合が多いのですが、どういう状況でも街路が大事と言うことから建物と街路に差をつけています。
 aとbは、5段階評価をします。3を標準として貢献要因があれば+1、+2、逆に阻害要因があるなら-1、-2となります。ここで標準の3は、街路(a)ならアスファルト舗装やコンクリート舗装などで道路標識や街灯などが普通にある道です。ただ注意していただきたいことは電柱と架空線は入っていないことです。これはグローバルを意識した場合には、ないことが当たり前であり、街の景観をスポイルする最大級の阻害要因になります。
 建物(b)の場合の標準は、その土地で普通の建物がある状態が3です。フェンスや生垣、擁壁なども普通にある分には標準です。ただ街路上から見て好ましい感じや目障りな感じを受けた場合にはプラスマイナスをします。重要なことは意匠にこだわった建物があるからプラスということはなくて、家並みとしての連続性で見た場合にどう見えるかで評価しなければなりません。単体の建物で評価がアップするのは、ランドマーク的な建物です。歩いていると視線を引きつけられるような建物です。
 街並み空間形成係数(c)は、街路と建物の評価点が2倍になったり、3倍になったりする強力な係数です。これが厳密な意味での街並みがあるということを意味する係数です。街並みというのは突然目の前に現れると理屈抜きで平面的な景観が3D(立体画像)になったようなインパクトのある街並みです。その程度によって2倍か3倍かを決めますが、これは感じ方なので個人差もあるため客観的な基準は決められません。ここで試案として提示させていただいている数式では、街並み空間形成係数が1の場合の最大値は15です。道路も建物も最高点5をつけても、街並みから得られる感動はないという場合です。これに対して、街路も建物も標準の3だけど、どういうわけかちゃんと街並みとして成立しているという場合(おそらく街並みができている最小値)は18点になります。

 街並み評価式の最高点は45点で、最低点は3点です。世界中どこの都市に行ってもこの式を適用して簡単に評価することができます。18点以下なら厳密な意味での街並みはできていないことになり、18点以上なら見る価値がある街並みになると思います。すくなくとも一人の人の心を動かした街並みであることがわかるからです。