2014年3月26日水曜日

街並み評価式 適用事例国内編(前)

 街並み評価式を具体的な事例に適用してその効果を見極めてみたい。今回と次回に国内事例を取り上げ、その後で国外事例としてイタリアの4都市の事例に適用してみるつもりである。

① 徳島県美馬市脇町(2013年11月現調)
 うだつが上がる家並みが続く旧道沿いの街並みである。この街並みが目に飛び込んでくると街路と建物が一体となって静謐な景観として呆然と見入ることになる。
 街路(a):黄土色の細かな石が舗装面を覆っているだけだが、マンホールなどの蓋も目立たないのですっきりした感じである。通りは無電柱化されているが、地中化ではなく脇道からの配電である。(+1)
 建物(b):白壁づくりの店舗併用住宅が道路に対して妻入りと長手入りがまじって変化をつけているが、1階2階の軒線が揃っているので美しい。うだつは建物全体から見ると小さなアクセントであるが大事なアイデンティティとして際立つ。建物は比較的年代が新しいものもまじるが、様式は共通のため違和感はない。(+2)
   街並み空間形成係数(c):文句なしに3

 街並み評価点を計算すると次の通り。
      d=(2x4+5)x3=39

  45点が満点であるから、まさに三つ星レベルである。
脇町の街並み


②徳島県つるぎ郡貞光(2013年11月現調)
  脇町から吉野川を10キロ程遡った対岸にある。ここの建物には全国でも他に例を見ない2重うだつが上がっているが、脇町のように家並みが連続していないのが残念である。
    街路(a):舗装は脇町と同色で、明るい仕上がりとなっている。脇町のようにクルマを制限しているわけでないので、道路に白線が描かれている。しかし最大の街並み阻害要因は電柱である。これだけ街並みを形成できる要因があっても、街の人々の熱意も無慈悲に台無しにしているのが電柱である。(ー2)
    建物(b):うだつだけについていえば、2重うだつは脇町のものと比べてもインパクトがある。しかしこの通りが地元の人々の生活道路でもあり家並みが連続しないため生きてこない。(+1)
    街並み空間形成係数(c):良好な街並みが形成されるまで至っているとはいえないのでc=1

街並み評価点を計算すると次の通り。
      d=(2x1+4)x1=6
18点を大きく下回っているため残念な結果が出てしまった。
ただ、無電柱化されていれば恐らく次のようになる。
      d=(2x4+4)x2=24

 この結果は無電柱化の効果がいかに大きいかを示している。つまりよい街並みを造っていくためにまず何をすべきであるかを示している。
 でも脇町の39点と比較するとなぜ24点なのかという疑問が湧くと思う。あとは家並みの連続によって脇町とほぼ同程度までいけることをこの数式は示しているのである。
貞光の街並み





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