2014年3月27日木曜日

街並み評価式 適用事例国内編(後)

③奈良県五條市新町(2013年11月現調)
 奈良県中西部、吉野川に沿った町。2010年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
  
 街路(a):黄土色の細かな石で舗装面が覆われている。徳島県脇町の街路と同じ仕上げであるが、五條の方が白い石の混じりが多い気がする。側溝の蓋にも配慮されていることがわかる。(+1)しかし電柱が街並みの形成を妨げている。電柱を茶色に塗るのは醜い電柱を少しでも目立たぬようにという配慮だろうが、残念ながら電柱のネガティブな存在感は揺るがない。(ー2)
 建物(b):2階建ての商家やしもたやが連なる。2階壁面が白い縁取りで、中が黒漆喰というのが渋い。(+1)
 街並み空間形成係数(c):辛うじて2

 街並み評価点d=(2x2+4)x2=16

 意図的に数字を操作していないが、結果は惜しくも良好な街並みと評価される18点を下回ってしまった。実感としてもこの2点差は納得できてしまう。
五條の街並み

④奈良県宇陀市大宇陀(2013年11月現調)
  五條市から北東へ30キロ、奈良盆地の端にある桜井駅から10キロ280メートル登ったところに位置する。ここも2006年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

 街路(a):無彩色の細かな石が舗装面を覆い、路側の石が所々で街路を横断して疑似ハンプになっている。(+2)五條と同様、保護色に塗られた電柱がそびえているし、折角の独立した街灯だが、柱が太くて電柱のようでもあり美しく感じられない。(−2)
 建物(b):古い建物ばかりでなく、新しい建物もまじっているが、様式的にはこの街の建物に合わせてあるので違和感はない。こうやって更新されればいつまでもこの町は残るという希望を与えてくれる。虫籠窓、格子、竹矢来など多様だが、屋根勾配や瓦はほぼ共通である(+2)
 街並み空間形成係数(c):2の水準にある

 街並み評価点d=(2x3+5)x2=22

これも意図的にではなく、数字の積み上げの結果であるが、電柱はあっても良好な街並みができているという判定になった。感覚的にも首肯できる。
大宇陀の街並み




0 件のコメント:

コメントを投稿