2013年6月12日水曜日

南欧自転車ぶらり旅  第二十三日

 一つの街に入って一晩過ごし、翌朝になるともう次の街に関心が移り、未練が残ることは殆どない。名残惜しいという気持ちになる方が自然ではないかと思うが、移り気な性格なのか、フィールドをかえたい気持ちの方がいつも強いような気がする。
 というわけで、ヴェローナから鉄道で次の都市ヴィチェンツァをめざす。ヴェネト州で初めて電車に乗るのだが、どの州でもリージョナレという各駅停車があるが、自転車をそのまま乗せられるのはリージョナレだけだから必然的にこれを選択する。料金も一番安い。今日は10時4分発のヴェローナ始発ヴェネチア行きの電車にしたのだが、駅の時刻表で見ると車いすマークはついているが、自転車マークがついていない。その10分後くらいに同じリージョナレで自転車マークがついているのもあるが、不定期で今日は走っていない。しかも11時台の電車はリージョナルでなく別のAutobusという初めて見るカテゴリーの列車なのでリージョナレに乗るならこれに乗るしかない。電車は始発だから早くからホームに入っているが、発車15分位前におもむろに乗り込み一番最後列の車両の出入り口だから、機関車側の方には通路はつながっていないのでそちら側に横に立てかけられた。そして自分は自転車が見える座席に座る。
 これで行くしかなかろう、腹をくくると、発車10分位前に車掌らしきが来て、イタリア語でまくしたてる。ビチクレッタだけはわかるから、彼がいわんとしているのは、この電車は自転車をそのまま乗せられないので、別の乗せられる電車に乗れといってるのであろう、と推測した。そういわれてもこちらも困る。ここで何時間も時間を待つのはゴメンだ。
 時間が間に合うかどうか分からんが、輪行袋に入れてみようと閃いた。すぐにホームに下りて輪行袋を広げ、前後の車輪を外し、フレームをまず収め、それを挟み込むような形で車輪を入れる。止め金具などは一切省略し、ほぼ5分で袋のチャックを閉めるところまでできた。それを抱えて車両の客席に乗り込み、向かい合わせ4席を占領することになるが、ここにおいてやれやれと、窓の外を見ると中年の夫婦二人が自分が自転車を乗せた同じ出入り口に自転車のまま乗り込んでいく。そしてしばらくして電車が発車した。
 ヴィチェンツァまで約1時間、ホームに下りてすぐに組み立てを開始したが、先ほどの夫婦は自分の横をのんびりと自転車を押しながらエレベーターで地下道に下りて去った。
ロンバルディア平原とは違うヴェネト州の風景(列車から)


 ヴィチェンツァは人口11万人。ここも16世紀の建築家アンドレーア・パッラディーオが手がけた建物が数多く残り世界遺産に指定されている。マントバ、ヴェローナ、ヴィチェンツァと街全体が世界遺産が3都市続いている。
山を背にした駅から伸びる道
同じ道で市街地方向を見ている。街灯が素敵
 街並みハンターの仕事にに入る前に、パッラディーオの建築について簡単に触れておきます、というか自分にはパッラディーオを紹介するだけの識見があるわけでないので、見てきた建物の写真を見ていただくことになります。
 パッラディーオは今から500年前のルネサンス期の建築家で、現在に至るまでイタリアで最高の建築家と高い評価を受けています。市内にあるパッラディーオ・ミュージアムには彼の作品が写真や模型、図面などで展示されていて、彼が当時としてはあり得ないほど多くの作品を残していることが分かります。彼の作品はヴィチェンツァだけでなくヴェネト州の各地、ヴェローナやパドバ、トレビソなどにありますが、なんといってもヴィチェンツァでの作品数が一番多いようです。作品の特徴やどこがすぐれているのかなどについては写真を見て判断していただくしかありません。
Palazzo Chiericati  屋上の彫像の列がユニーク
Teatro Olimpico 門の内部に劇場の建物がある
名称が分からないけど巨大な建物です
Palazzo di Iseppo Porto
 街並みに関してはびっくりするようなものはありませんでしたが、これから道の整備などをすると良くなりそうなものなど多数あります。ただヴィチェンツァへ来て初めて気づいたのですが、通常イタリアでは窓の一番外側にガラリの開閉扉がついているのが一般的ですが、ヴィチェンツァではこの上のPalazzo di Iseppo Portoでもわかりますが、二階の窓で閉じているのはガラリでなく板扉になっています。つまりパッラディーオの頃からこういう扉が使われていたようです。これは光、雨などを防ぐには効果的ですが、見映えからいうとちょっと閉鎖的な感じがしませんか。街並みを形成する上でも多少の影響がありそうです(写真ではわかりにくいですが)。ただ地域性という観点からするとその土地らしさがでているとも云えます。
ポルティコもあります
街灯が効果的です。夜の光景が見たくなります
アスファルトの道をかえれば変わるはず

<ホンイチの街並み>
ヴィチェンツァのアンドレーア・パッラディーオ通りです。ヴィチェンツァの目抜き通りですがパッラディーオの手は入っていません



<本日のホテル>
 ヴィチェンツァ「Dream Hotel」☆☆

どこもかしこも壊れそうだし、壊れているし。それでも夢見るホテル?55ユーロ

2 件のコメント:

  1. 見えない部分があるね。反転させると文字が現れるので、入力はされているようだが。少なくともandroid4.2.2のchromeとwindows8のfirefox21.0でそうなっている。

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  2. 平瀬さんご指摘の通り、昨日と今日文字がホワイトで消されるような症状が出ています。気がついて編集で、文字の部分を書き換えるようにして直していますが、原因が分からないので困ってます。白塗り画面をご覧になられた方、申し訳ありませんでした。

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