2013年5月31日金曜日

南欧自転車ぶらり旅 第十一日

 二日間も僥倖が続き、雨模様が出発前に劇的に晴天に変わり、恙なく、新しい街に自転車で辿り着くことが出来ました。でも、さすがに三日は続かない。今日は前二日間と真逆の展開でした。つまり朝起きて、ガラリ扉を開けると白い雲は出ているが青空がみえて、お日様が照っている。昨晩深夜の天気予報では、トスカーナの辺りは完全な雨マークだったので、ひょっとすると三日連続なんて思っちゃった。ただ今日はシエナをめざすが、シエナのホテルは11時からチェックインできるので、早めに行く分には問題ない。シエナに行くにはは300メートルの登りが待っている。もういくら登っても坂道は好きになれない。だから、晴れててもグラナイオという駅からシエナまでは鉄道利用で行くと決めている。
 朝飯を食べて、撤収準備をしている頃には、窓から庭を見ると並べてある鉄製のテーブルが光っている。昨日イメージしたレインウェアのフードをかぶり上からメットをかぶれば頭が濡れないじゃないかというひらめきも今日は試せる。
 ということで、結構居心地のよかったホテルを出発する頃には、本降りになっていた。冷たい雨が間断なくあたるが、中まで濡れることはあるまいとグラナイオ駅をめざす。
最初かなり登りが続くが2メートルくらい先を見て、イチニ、イチニと号令をかけながら上がる。地図で見るとホテルから駅までは3キロ位の距離だが、実際には5キロくらいに感じた。最後は下りであったが、雨の日の下りは下り坂最高!なんて走ったら大変なことになるので、慎重にブレーキをかけながらゆっくりと下りる。体は寒くはないが、指切りグローブから出ている指先や雨を若干通してしまうPEAKの自転車用パンツのため足が冷たい、さらにびっくりしたのは吐く息が白くなるのだ。10度以下5度とか6度くらいかもしれない。
 でも距離はたいしたことないので、グラナイオ駅についても余裕はあった。9時22分発に乗る予定であるが、駅には駅員も客も誰もいない。リージョナルの列車でも、全部は止まらないし、9時を逃すと次は12時22分までないのだ。時刻表で確認すると9時の列車は自転車マークもついている。3,40分待つしかない。
誰もいないグラナイオ駅
ホームに水たまりが出来ている

10分遅れで到着した2両編成のディーゼル列車が乗り込むと、自転車の置き場がないのだ。ドアの幅が狭いので、ドアにもたせかけるようにはおけないので、車両の幅の半分位を占領してしまう。そのため客室に出入りするドアを半分ふさぐため、自転車のそばにいないとまずいのだ。しかも車掌がすぐにやってきて切符を見せろと言う、ないというとスマホを出してそこで駅名やらなにやら入力して10ユーロ払えと言う、こちらは事前のイタリア国鉄のHPで5.7ユーロであることを調べてあるが、とても言い出せない。大体車内精算だって精算書みたいなものを出すのが普通だと思うが、こちらが出した20ユーロに対して自分のポケットからしわしわの10ユーロのおつりをくれる。この車掌その後もう一度来て、自転車の料金が3ユーロちょっとかかるんだよねとこちらのしわしわの5ユーロ紙幣をかっさらって、おつりの小銭をおいて上機嫌で消えた。

 シエナまでは40分くらいで着く。シエナのふた駅前くらいから、乗ってても勾配が分かる登りに入る。この列車ものすごいトルクがあるのかも知れない。iPhoneのアプリ「標高ワカール」でみていると1秒間に1メートルくらいの勢いで登っていることが分かる。 
 シエナ駅はホームが6番線くらいまである大きな駅だが、やはり雨が降っている。そこからホテルまで約3キロ、更に登りが続く。そして旧市内に入ると墓石ほどの大きさの石が斜めにならべられた石畳、通るところがすべてホンイチの街並みという感じ。ホテルにチェックインしてしばらく部屋にいたら、表に日が差しだしたので、カメラを持って街に飛び出す。その話しはこのあとすぐ。

<ホンイチの街並み>
 はじめシエナは訪問都市に入っていなかった。あまりに有名だし、観光客だらけであることがわかりきっているので、何となくパスしようと思っていた。ところが出発のひと月位前に池上俊一の「シエナー夢見るゴシック都市」(中公新書)を読んで、行かねばなるまいと思ったのである。著者の池上氏はシエナに入れ込んでいて毎年のように訪れて、古い文献を資料館に行って閲覧している。でもそれが自分がシエナに行く動機にはならない。九人執政官時代にシエナの街は概成するが、それから今日まで市民とシエナの街の関係はずーっと一貫している、強欲なフィレンツェからの様々な干渉にも治世者と市民が一体となって対応してきた。だからシエナは街そのものも昔のものを手入れはするにしても使い続けてきたし、カンポ広場で毎年2回行われるパリオというコントラーダ(地区)対抗の競馬など祭りや伝統行事を守ってきた。そのシエナの街並みが悪いはずがないではないか。ということでこれから3枚街並み写真をご覧に入れます。誰が撮ってもちゃんと撮れます。どこを撮ってもそれなりに見栄えがする写真が撮れます。だけどこれが行政の細やかな規制と住民の街を守る気概のおかげで成り立っていることを忘れないでください。
シエナの普通の街並み
雨水を道路中心で排水している
坂が多いが、遠くにトスカーナの緑が見える

<本日のホテル>
 シエナ「Hotel Antica Torre」☆☆☆
 旧市内の西の端にある。カンポ広場まで歩いて10分。72ユーロ
一応ダブルベッド
ベッドに寝ると見える天井、木骨造の天井

   

 

3 件のコメント:

  1. イチニイチニとかけ声呟きながら、坂を登る小山さんの姿が目に浮かびます。^_^
    シエナに入都したんですね。かつての首都、積み重なる歴史。やはり、一味違うのでは?カンポ広場の微妙な角度、取り囲む建物との一体感。素晴らしい街と思います。

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  2. ピサやシエナといった観光地はパスしようかと考えつつ、やはり行ってみるというのは、小山さんのこれまでの人生の行動パターンと同じで、皆から愛される理由でもありますね。

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  3. うわー!この天井ほしい。。。憧れるう!

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