2013年7月18日木曜日

南欧自転車ぶらり旅 総括編 2(街並み探訪を除く)

ホテル


 今回の宿泊はすべて一人部屋を確保できるホテルにしました。この手の旅行で一番費用がかからないのは野宿ですが、テントと自炊を前提にする旅は、バックパック一つの旅では不可能です。次の手段はユースホステルの利用ですが、これは相部屋や多段ベッドでプライバシーがないのでやはり無理。費用はかかりますが、誰にも気兼ねする必要がない一人部屋のホテルは譲れない選択でした。今回はミシュランが推奨するホテルでできるだけ安くしかも個室が確保できるというのが条件で、結果的に一番安かったホテルは一泊40ユーロ、一番高かったのは90ユーロでした。最低価格はレッジオ・エミリアで泊まったホテルで、ウェルカムフルーツがついていて、スリッパもあるという二つ☆ホテル。無論朝飯付き。
レッジオ・エミリアの40ユーロのホテル

 最高価格はジェノヴァで泊まった四つ☆ホテルで、これはもう別格の豪華さでバスローブ付きでした。でもここは、到着したとき予約がないというのでトラブりましたが、調べてもらったら前夜の予約ということで、明らかに自分のミス。二日分払ったのは痛手でしたが仕方ない。
 ☆の数でいうと3つ☆が一番多かったとおもいますが、アグリツーリズムのホテルのように☆がなくても広々とした室内と設備があり、地産地消の新鮮な材料の美味しい料理が提供されます(朝飯以外は別料金ですが値段はリーズナブル、但し週末しか夕食を提供しない所もあり)。アグリツーリズムのホテルは街中でなく郊外立地が多いので、アクセスしにくいところにあるのはやむをえませんが、チャリなら機動性があるので問題ありません。
 ホテルのWifi環境は大抵が無料で提供されていますが、外部のWifi提供業者と連携しているホテルは、アクセスの都度認証が必要とか、PCとiPhoneの両方使いができないなど使い勝手が悪いことが多いです。一番困るのは部屋が3階より上になるとWifiの電波が拾えないとか極端に遅くなるなどすることがあり、やむをえずアンテナに近い1階のロビーでブログの入力作業などをする羽目になります。また、総じていえることですが、Wifiの速度が350kb位が当たり前で、容量の大きなファイルの送受信などかなり時間がかかるか、途中でこけてしまうこともあります。今回の旅で一番速度が速かったのは、クレモナのホテルで、ペントハウスの部屋の中にwifiルーターがおかれていたため2mb位出ましたが、これは超例外。

食事

 朝飯はどこのホテルで食べてもクロワッサンとジュース、コーヒーを中心にシリアル、ハム、チーズ、果物、ヨーグルトなどが加わるのがほぼ定番でした。これはどこで食べても当たり外れはほぼなく、確実に栄養補給するためには欠かすことができない食事でした。例外もありましたが大体ホテルの料金に含まれているのがイタリアで、フランスでは別途朝食料金がかかりました。
 当初日本で、朝飯の時に出るパンにハムやチーズを挟んでそれを昼食にしようと考えておりました。フランスで1,2回やりましたが、大体1時か2時に目的地に到着するようなスケジュールにしてから、到着地のバールやリストランテで昼飯をとるようにしたため、昼食づくりはやりませんでした。
 昼飯はできるだけ食べるようにしていました。昼飯をちゃんと食べたときには、夕食は軽めにスーパーなどでサンドウィッチやピザ、パニーニなどを買ってきて、ビールを飲みながら食べることもよくありました。当然満足度は低いわけですが、10ユーロ以内に収めることが目標です。何しろ、リストランテで食べる夕食に関しては早くても7時半、大体8時過ぎないと客も来ません。ともかく夕暮れは9時近くと日も長いけど、こちらの感覚からすると寝る2,3時間前に肉や魚をがっつり食べるとなると消化できるのかと心配になりますが、ともかくイタリアの人たちはおしゃべりを楽しみながら延々と2時間ぐらいかけて食事をします。一人メシでは到底つきあえるわけもなく、夕食は金額も張りますし、食べるものも出てくるまで結構時間がかかるため、できたものを買ってきて簡単に済ますのは生活リズムからいってもあっているような気がしました。
 
 街歩きなどをしていてちょっと何か食べたいというとき、それも暑いときにはジェラートが最高です。どこの街へ行ってもジェラートを扱う店はあります。カップかコーンを選択し、1種類、2種類、3種類のジェラートを選ぶと2重、3重に積み重ねたり、或いは2分割3分割にして盛ったりとやり方は店によって異なりますが、大体1種類で1から1.5ユーロ、2種類だと2から2.5ユーロぐらいの値段です。味は店によって若干は違いますが、どれも美味しくいただけることは請け合えます。その理由は甘さの加減がいいからかなとと

思ってます。もしうんと甘いと食べたあとに水が飲みたくなるでしょうが、不思議とそういう気になったことがなかったからです。ケーキの類はこんなに甘くしなくてもいいのにという位甘いのですが、コーヒーや紅茶とともに食べるから食べられます。飲み物なしではきついかもしれません。
二段積みのジェラート

二分割盛りのジェラート

2013年7月11日木曜日

南欧自転車ぶらり旅 総括編1(街並み探訪を除く)

行程


 全32日間の行程は以下の通りです。自転車での走行距離は地図上の推定で、実際には千キロは超えていると思います。

1   5/20 マルセイユ空港→マルセイユ 
2    5/21 マルセイユ→シオタ(チャリ)[50キロ高低差320m]シオタ→ツーロン(鉄道)ツーロン→イエール(チャリ)[25キロ高低差70m] 
3    5/22 イエール→フレジュス(チャリ)[85キロ高低差130m]
4    5/23 フレジュス→カーニュ・シュル・メール(鉄道)
      カーニュシュルメール←→ヴァンス(チャリ)[20キロ高低差300m]
5    5/24 カーニュ・シュル・メール→マントン(鉄道)
      マントン→サンレモ(チャリ)[36キロ高低差170m]経由地ヴァンティミリア
6   5/25 サンレモ→インペリア(チャリ)[30キロ高低差200m] インペリア→スポトルノ(鉄道)
7   5/26 スポトルノ→ジェノヴァ(チャリ)[63キロ高低差82m]経由地サヴォナ
8   5/27 ジェノヴァ→Recco(チャリ)[20キロ高低差75m]Recco→スペッツィア→マッサ(鉄道)
9   5/28 マッサ→ヴィアレッジオ(鉄道)ヴィアレッジオ→ピサ→ルッカ(チャリ)[43キロ高低差19m]
10  5/29 ルッカ→エンポリ(チャリ)[52キロ高低差70m]経由地モントポリ
11   5/30 グラナイオ→シエナ(鉄道)
12   5/31 シエナ→ブエンコンヴェント→サン・クイリコ・ドルチァ(チャリ)[50キロ高低差230m]
13   6/01 サン・クイリコ・ドルチァ→アレッツォ(チャリ)[65キロ高低差276m]
14   6/02 アレッツォ→フィレンツェ(鉄道)
15   6/03 フィレンツェ→ボローニャ(鉄道)
16   6/04 ボローニャ→レッジオ・エミリア(チャリ)[64キロ高低差25m] 経由地:モデナ
17 6/05 レッジオ・エミリア→ピアチェンツァ(鉄道)
18 6/06 ピアチェンツァ→ミラノ(鉄道)
19 6/07 ミラノ市内[30キロ高低差0m] 
20 6/08 ミラノ→クレモナ(鉄道)
21 6/09 クレモナ→マントバ(チャリ)[77キロ高低差31m]
22 6/10 マントバ→ヴェローナ(チャリ)[45キロ高低差56m]
23 6/11 ヴェローナ→ヴィチェンツァ(鉄道)
24 6/12 ヴィチェンツァ→パドヴァ(チャリ)[59キロ高低差26m]
25 6/13 パドヴァ→トレヴィソ(チャリ)[68キロ高低差13m]
26 6/14 トレヴィソ→ウディーネ(鉄道)
27 6/15 ウディーネ→モンファルコーネ(鉄道)モンファルコーネ→トリエステ(チャリ)[43キロ高低差82m]
28 6/16 トリエステ2日目[14キロ高低差185m]
29 6/17 トリエステ3日目[33キロ高低差300m]
30 6/18 トリエステ→メストレ(鉄道) ヴェネチア
31 6/19 メストレ2日目 ヴェネチア
32 6/20 ヴェネチア空港→パリ経由→成田(6/21日本時間)

チャリ総走行距離 972キロ
周遊ルート

 この中で予定として決まっていたのは、航空券の関係で5月20日マルセイユ・プロヴァンス空港から走り始め、6月20日ヴェネチア・マルコポーロ空港から帰るという入口と出口だけで、あとはおおまかにコートダジュールに沿ってイタリアに向かって走り、陸路イタリアに入り、イタリア・リヴィエラ(或いはリグリア海)沿いに進み、ピサ辺りから内陸に入っていく。そしてシエナ、トスカーナ、ボローニャを通り、アドリア海に出てイタリア最東端のトリエステをめざすという程度です。
 結果的に、フィレンツェやミラノなどの観光名所を入れてしまいましたが、街並みという観点からすると、大都市は期待したほどのことはなく、むしろ中小都市のほうがコンパクトにまとまった街づくりがされているという印象が強かったです。
 また鉄道の利用は当初から想定はしていましたが、これだけ頻繁に使ったのは想定外でありました。フランスでもイタリアでも鉄道に自転車をそのまま持ち込めることは、それぞれの国鉄のホームページなどから承知していましたが、初めから鉄道利用を決めていたのはジェノヴァからスペッツィアの間に長いトンネルがあり、これを回避するためでした。しかし最初の日に劇的な形で鉄道利用によって迷路から脱出できたために、その後すっかり苦しいときの鉄道頼りが定着し、鉄道のキロ数を調べる手立てがないため推定ですが、自転車の半分の500キロ位は乗っているのではないかと思います。

チャリ走行

 GIOS(カンパ・ヴェローチェ仕様)は往きの時には、ネットで購入した「輪行箱」という段ボール箱(5千円程度)に入れて運びました。マルセイユで開いたとき、ペダルの先端が段ボール箱の側面に小さな穴を開けていましたが、本体に損傷もなく組み立てができました。ただ、羽田で重量は規定内だが、サイズが規定オーバーなのでということで15000円払わされました。
マルセイユ空港で出発前。後ろに輪行箱があります

 ついでに戻りの時には、航空会社は、段ボールの箱に入れてくださいと言うので、旅先でどうやって段ボール箱を調達すればいいの?と聞くと絶句していました。自転車屋で空箱を譲って貰ったら、といわれたらその段ボールを抱えて空港まで自転車でどうやっていけばいいのか教えてもらいたかったが、話しは続きませんででした。これは日本で航空会社と電話で話したときの状況です。結局輪行袋に収めた自転車で梱包については何も言われませんでしたが、100ユーロを払わされました。そして日本に戻り開いて見ると、ハンドルについているブレーキとシフトレバーが一体となった部分がひん曲がり、ハンドルに巻いてあるバーテープが何かに激しくぶつかったためか、途中で切れそうになっていました。でも致命的なダメージはないのでまずまずであったと思っています。
 
 走行については、一日100キロ程度を平均18キロ程度で走るのは、もう20年くらいやっているので特別なことではないのですが、2008年以来心房細動による不整脈があり、2011年と12年の2回、カテーテルアブレーション手術を受けました。この手術は心筋で発生する不規則な拍動の原因となる発生源を囲い込むようにカテーテルで焼灼するもので、今年5月に80歳でエベレストの登頂に成功した三浦雄一郎が過去に4回同じ手術を受けていることで知られているものです。私の場合も、まだ期外収縮が残っていて時々違和感を感じることはありますが、4月の一年後検診で、もう通院しなくてもいいということになり、今回の南欧自転車旅でどこまで大丈夫かを試そうという思いもありました。

 出発前の想定では、一日80~100キロを平均速度20キロ位で走るつもりでした。東京近郊で走っている分には、特に過大な想定とは思えなかったのですが、実際に走ってみると一日とか二日とか走るのなら可能かもしれませんが、毎日これだけの距離を走るというのは自分の体力では無理であることがわかりました。何よりも苦しいだけで楽しめないのです。ある程度までは修行としてガマンしようと思いましたが、メシが食えない(これは食欲がないということと食欲はあっても現地のメシを受け付けないという両方のケースがありました)、眠れないで体が疲弊していくのが鏡を見るとはっきりしてくるため、何とかする必要がありました。それが自転車と鉄道のハイブリッド利用です。これはNHKBSの火野正平の「こころ旅」で頻繁に使われるやり方です。これによって次にどこまで行くか(=ホテルの予約)を決めると、大体のルートを「TopoProfiler」で調べると、距離だけでなく高低差もわかります。またミシュランの地図ではトンネルの有無と大体の長さもわかります。これらの情報をもとに鉄道が使えるかどうかも確認し(ミシュラン地図で駅を確認し、イタリア国鉄のHPから乗車駅と降車駅を入れると、時刻表と料金が出てくるのでそれで間違いなく鉄道が使えることがわかります)、目的地までの行き方が確定します。

 こういう走り方が定着したことで、旅を無理なく続けていくことができるようになりました。

 旅のパートナーのチャリユキ君(GIOS)はイタリアブランドの台湾生産の自転車でしたが、今回イタリアでは同じブランドの自転車を一度も見ませんでした。ロードレーサー(ローディ)が乗る軽さと速さを重視したカーボンフレームの自転車ではなく、クロモリというスチール系の自転車で街乗りに適したもので、日本国内では最近すごく増えていますが、本国では存在感が薄いメーカーのようです。でも約千キロの走行でトラブルはパンク1回だけ、メカの信頼性は抜群でブレーキの音鳴りや変速機の歯車とチェーンのこすれによる異音など全くありませんでした。これはカンパニョーロというイタリアのメーカーによるコンポーネンツのおかげでした。自転車に対する理解はすごく進んでいて、自転車の持ち込みを迷惑がったホテルは一軒だけで、あとはどんなに古いホテルでも自転車はちゃんと保管してくれました。こちらからすると部屋に持ち込めるのが理想的ですが、エレベータが小さくて自転車が乗らないとか階段を上り下りしなければならないなどの事情があり、部屋に持ち込めたのは4回に1回くらいでした。
 でも道を走っていて、ローディたちに会うと挨拶するのはとても気分がいいもので、同志という感じになります。ローディたちの速度はかなり速くて、こちらは平地で巡航速度20キロ、速度を上げて25キロくらいですが、彼らはその10キロ増しくらいで走っています。多摩川のサイクリング道路でもこれだけの速度で走っている人は少ないのではないかと思います。しかも同じジャージを着てグループで走っている人が多いのですが、3,40代が中心でも、60代、70代とおぼしき御仁が混じっていて、同じ速度ですいすいと走っています。年寄りの走り屋が多いのは、非力なこちらは参ったと言うしかないのですが、いい刺激にはなりました。ついでにいうとこれは男性だけでなく、70歳前後の女性が集団で走っているのを目撃したときには驚愕し、カメラを取り出そうとしましたが、その時にはもう先に行ってしまってました。